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セーリング

セーリング

セーリング 帆走

 セーリングとは、船体に設置された帆に風を作用させて水上を移動する技術、とでも定義すれば良いのでしょうか? 水上を移動する手段として船が生まれ、その船を推進させる方法が考案されて来ました。

水上移動手段としての船は、人と物をより大量に早く運ぶために大型化と効率性を求めて進化を続けて、まず人力で漕ぐ事で推進力とし、岸から動物に引かせる方法などが派生し、ついに風を利用する技術が紀元前4000年頃に古代エジプトでパピルスの船体にラテンセールを持つ帆船がナイル河を帆りはじめました。北欧のバイキングによる大遠征やスペインやポルトガルの大航海時代を経て、大英帝国の艦隊や商船が世界を巡って、帆走技術が世界制覇の源となるような時代を経て、蒸気機関の発明によって20世紀初頭には帆船の時代がついに幕を降ろすまで、その発展を続けて来ました。

現在でも、スポーツとしてセーリングが受け継がれ、またエネルギー問題の解決手段として商用船で帆を利用する開発が行われています。

 6000年の長きにわたって隆盛を誇って来た帆走という技術は、17世紀に英国王室で帆船がスポーツやレジャーとして使われ始めた時に、ヨットと言う言葉が生まれました。よって、ヨットという言葉は娯楽用に利用される船の総称という事になります。

 現在、私たちは帆走(セーリング)を様々に楽しんでいますが、風上の目的地にも到達できる技術は7世紀にアラブで発明されたダウ船に始まると言われています(写真の船で。現在でもレースが楽しまれています)。この発明がオランダに伝えられ、これが英国にも渡ってスポーツやレジャー用に使われる事で、進化を続けて来ました。流体力学や構造、材料と建造技術の進化によって帆走艇の性能は飛躍的な進歩を続けてきました。特に過去50年の進化のスピードには目を見張るものがあります。

 木綿の帆が化学繊維(ダクロンなど)に変わり、木造の艇体はアルミやFRPに、木造のマストはアルミ製に、木綿の索具はステンレスワイヤーに取って代わリ始めてから、まだほんの50年ほどしか経っていないのです。カーボンファイバーやエポキシ樹脂などの発明やコンピューターなどのデジタル技術を始め、科学的な広い分野での進歩がセールボートの開発に持ち込まれる事で、その性能は飛躍的な向上をもたらしました。帆走性能のみならず、安全性の向上や通信手段、航法装置にキャビンライフの快適さに至るまで、現代のセーラーはそれらの大いなる恩恵を享受しています。このような進化は、新たなセーリングの楽しみ方をも創造してきました。ウインドサーフィンやカイトセーリングといった新しいジャンルが生まれ、スピードの追求はマルチハル艇やフォイリングを組み合わせる方向にも進んでいます。アメリカズカップの艇開発がこれらの進歩の舞台になってきたのは確実な事実だと思います。

 この先、セーリングの進化はどこまで行くのでしょうか?

               そしてそれが良い方向に向かうのでしょうか?